クリストバライト(方ケイ石) cristobalite SiO2  [戻る

等軸晶系(高温型),正方晶系(低温型) 常温ではすべて低温型になっており,一軸性(−)(ただし,アイソジャイアーが観察できるほど粗い結晶は希) ω=1.486〜1.488 ε=1.482〜1.484 ω-ε=0.002〜0.006 複屈折量が小さいため,時にほぼ等方体に見え,火山ガラスと紛らわしい。また,トリディマイトや沸石類とも区別困難。


色・多色性/無色。多色性なし。

形態/
黒曜岩(流紋岩)中のものはまれに8面体の自形をなし,その断面が4角や6角に見える。しかし,多くは他形で石基中に微粒集合体をなす。

へき開/
認められない。

消光角/
定義されない。

伸長/定義されない。

双晶/クロスニコルでまれに認められる。

累帯構造/少量のNa,K,Alを含むことがあるが組成変化に乏しく認められない。

産状新生代のケイ長質の火山岩類の石基部分や,球顆流紋岩中の球顆部分としてしばしば見られる。新生代の凝灰岩や珪質泥岩の自生鉱物としても産し,同様な成因のトリディマイトや沸石類とは区別困難。なお,黒曜岩中には微細ではあるが明瞭な8面体の自形結晶が認められることがある。火山岩中のものは高温型クリストバライトから低温型クリストバライトに相転移したものであるが,自生鉱物として生成したものは最初から低温型クリストバライトとして生成したものである。



球顆流紋岩中の球顆部分のクリストバライトまたはトリディマイト
クロスニコルで灰〜灰白色の干渉色を示す部分

画像のものはクリストバライトまたはトリディマイトであるが,このように微細であり,光学性では区別困難。長石類や石英よりも干渉色は低めである。ケイ長質火山岩類の石基部分にも火山ガラスに混じってこのような状態で多少含まれていることが多いが,中生代以前の古い時代のものには少ない。

球顆流紋岩
丸い球顆が目立ち,その部分には微細な長石類の他にトリディマイトやクリストバライトが含まれる。